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2005年10月09日

自宅ーホワイトバンド運動を考える

終日雨。寒い。

午前中、メール受信。返事を出す。
ブランチ。

午後、教育評論12月号推敲完成。送付。
関係者に手紙を書く。

「欲望」と資本主義の続きを読む。

夕方、買い物。往復1時間徒歩。

数日前の朝日新聞投書欄に「ホワイトバンド」についての投稿が
載っていた。アフリカへの支援を呼びかけながら、直接アフリカへの
支援はしないで、「啓発」をするということへの疑問である。

あるHPにも「ホワイトバンド」運動への疑問が出されていた。
今日、改めて「ホワイトバンド」についてのHPを検索した。

http://www.hottokenai.jp/

水泳の北島などがトップ画面に載っている。HPを細かく読んで見る。
私の疑点は唯一つ、300円のホワイトバンド購入費用は何に
使われているのか、という点である。

「ほっとけない 世界の貧しさ」キャンペーンによると売り上げの
30%にあたる収益金を何に使うかは協議中とのこと。

以下、表記HPにある寄金の使い途についての部分。

『ホワイトバンドの売り上げも、このキャンペーンの重要な資金源となっています。現在、売上の3割にあたる「世界の貧困をなくす活動費」の部分の使い方について、キャンペーン実行委員会とホワイトバンド・プロジェクトで慎重な話し合いを重ねていますが、これは「貧困を根本からなくすために最も効果的な方法」に活用していく計画です。特に2005年G-CAPのメッセージである「お金ではなく声をください」の趣旨に合致した、貧困をなくす政策を先進各国が採用するためのはたらきかけに使っていく予定です。その一環として、キャンペーンの新聞広告、9月10日のホワイトバンド・デーのイベントなど、実際のキャンペーンの活動にも活用していきます。この点については、ホワイトバンドFAQもご参照ください。
実際の売り上げの会計情報は、ホームページ上で公開し高い透明性を確保していきます。ホワイトバンドの販売が開始されたのは7月初旬ですので、売り上げの代金がホワイトバンド・プロジェクトに届きはじめるのは9月以降です。キャンペーンの終了予定である2005年12月末時点での会計報告を、2006年3月までに公開する予定です。また、経過報告も予定しています。』

となっている。また、ホワイトバンド運動は「貧困をなくす政策を
先進国が取るように働きかけること」が目的とされている。

キャンペーンでは次のように言い、寄付金は現地への直接の寄付ではなく
先進国に「政策の転換」をさせる費用とするとしている。

『「貧困を根本からなくすために最も効果的な方法」に活用していく』と。

『世界的な貧富の差が拡大しています。モノをつくっても公平に取り引きしてもらえなかったり、返済不可能なほどの借金を背負わされていたりすることで。
この貧困は人災です。克服することができます。
そのために必要なのは「貧困を世界の優先課題とすること」です。
20年前、アフリカ救済イベントで280億円の寄付を集め、
喜んだのもつかの間、それがアフリカでは先進国への債務返済に一週間で消える額でした。
寄付だけでは、貧困のスピードに追いつけないのです。
みんなの意向を集めて、政策を引き寄せなければ。』

アフリカに支援金を送ったり、直接貧困で苦しんでいる人々へ
支援金を送ることを目的とはしていない。飽くまで先進国の
政策転換を行うための啓発活動に使うとしている。

私自身はベトナムに来るスタディーツアーなどと話す時には
ホワイトバンドについて肯定的な評価をしている。
アフリカの貧困に目を向けて、貧困を撲滅する運動自体は
評価している。
しかし、今、ホワイトバンドをすることが若者の間では
一種のファッションのようになっている。これらの若者などが
果たしてこのキャンペーンが目指している「先進各国の
政策を変える運動」であることを理解しているかというと
疑問である。
若者やホワイトバンドをしている多くの人々は
ホワイトバンド300円の中からいくらかは、アフリカの
子どもたちに届くものと思っている。テレビ宣伝でも
「3秒間に一人の子どもが死んでいる」といい、あたかも
ホワイトバンド寄金で子どもたちを直接助けるかのような
宣伝となっている。

実際には、ホワイトバンド運動は直接アフリカへ寄付金を
送る運動ではなく、先進国に政策を転換させる運動なので
ある。これは、「政治を変える」政治運動でもある。
各国の政策を変えるという課題は至って政治的なものである。
現実にはブッシュ大統領の「先制攻撃論」で世界の一国支配
をめざす新保守主義の流れがある。こうした政府の政策を変えると
いう大きな課題に挑戦することは意義のあることだが、同時に
大きな課題であり、「学習」「知ること」「知識」が必要である。

寄金を頂く場合には、
①その目的を明確にし、
②使い途を明らかにして
寄金を呼びかかることは、NGOの最低の任務だと思っている。

今回のホワイトバンド運動は、寄金を頂くNGOの最低の責務である
寄金の目的と使途の明示化が極端に不足していることである。
つまり、直接現地に寄付をするのではなく、各国内の政府や
先進国の「政策を変える」ことやそのための啓発に使うということの
宣伝が足りないということである。協賛団体すら未だに明示されていない。
(HPでは近日中に明らかにするとしているが・・・)

また、使途については、現在検討中とあるが、寄金を呼びかけるのでは
あれば、何にどのように使うかを明らかにしないで、お金を集めるのは
間違っているといわざるを得ない。
今回のキャンペーンの最大の眼目である「先進国の政策を変える」
という課題の道筋する示していないままの募金活動である。
いくらアフリカや世界の貧困をなくすキャンペーンだと言っても
寄金の目的の宣伝が不足し、使途は未だに検討中という
活動の仕方には、疑問を感じずにはいられない。
貧困をなくすという立派な取り組みだからと言って、NGOや
ボランティア活動への批判を控えるのは間違っている。
無批判からは腐敗しか生まれない。
このキャンペーンで動く何億円という大金がどのように流れ
何に使われるのかを明らかにしないままでの募金は「怪しい
キャンペーン」になってしまう。


投稿者 koyama : 2005年10月09日 15:30

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