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2006年10月19日

上尾市商工会議所「聚正義塾」講演会

晴れのち曇り

「蟹工船」「党生活者」(小林多喜二著:新潮文庫)を読む。
高校生か大学の頃読んだ記憶があるが、改めて読んで見た。
小林多喜二が小樽の人(出身は秋田県)と言うこともあって。
1929年発表。日本が戦争に突入していく時期にこうした
「根性」をもった日本人がいたことは、日本人の誇りでもある。

函館で季節労働者として雇われた農民、坑夫、漁民、土方、
学生、貧民街の少年たちが蟹工船「博光丸」に乗せられ
カムチャッカのソ連領内に違法に侵入して蟹を取る。
無権利状態の労働の中で何人もの人間が死んでいく。
自然に労働者からサボタージュが起こるが、結局
密漁をする蟹工船を護衛している駆逐艦の水兵によって
弾圧されるというストーリー。たこ部屋のたことは、
自分の体を食べて生きていくという意味だそうだ。
蟹工船の労働者はまさに自分の体をかけての
労働である。病気になり死んでいくことを前提に
蟹工船で仕事をしている。タコと同じである。
「たこ部屋」。

日本の大企業が行っている「偽装請負」はまさに現代の
蟹工船ー近代的「タコ部屋」である。
偽装請負の実態がいかに非人間的なものか、
派遣労働が体を切り売りして生きている実態がある。
先日の衆議院予算委員会でその実態が明らかになった。

「党生活者」は1932年に書かれた。著者の小林多喜二は
翌年、築地警察で拷問により虐殺される。その年、中央公論に
発表されたが、5分の1が伏字。全文が発表されたのは戦後。
今、改めて読む意味の十分ある小説と感じた。それは、
国が戦争に突入しようとするとき、国民全体を狂気と熱狂
に駆り立て、一部の全うな人間を「異端者」(当時は赤)として、
排斥することという常套手段がおこなわれる。
今から75年前にあった「昔の話」とはいえない切実感を感じた。

午後、浮間舟渡駅から大宮へ。大宮のみどりの窓口で
明後日の京都行きの新幹線切符、静岡行きの新幹線切符を
買う。窓口の担当者に『「東京電環」で下車できますね?』
と聞く。担当者は「東京電環って何ですか?」と逆に質問される。
東京電環、知らないですか?と質問すると、JRにそんなことばは
ありませんとのこと。「水戸発東京電環行き」などいう切符が
あったのに・・・・・・。仕方がないので、新幹線は東京発だが
山手線とその付近の駅から乗降できるという切符、と説明。
それならありますとのこと。これほどはっきりと「ありません」
と言われると私が間違っていたのか、と思ってしまう。
自分の仕事に対する責任感(知識・技術等の習得)がなくなって
来た日本社会ではある。

午後4時、上尾駅着。駅には星野さん、加藤さんがわざわざ
出迎えに来てくれていた。恐縮。

加藤さんの会社でしばらく星野さんと懇談。星野さんの案内で
会場である「上尾市商工会議所」へ。

午後6時から講演会。
『上尾未来大学「聚正義塾」(しゅうせいぎじゅく)10月講座』
聚正義塾は、江戸時代に栃木県の足利学校と同じ時期に
上尾で開講していた学校だったそうだ。
星野さんたち商工会議所の皆さんがその名前を現代に
生かし、若手の企業家育成のための学校として「聚正義塾」
という名前を復興したとのこと。
塾長は星野理一氏。参加者は65名。

はじめに星野理一塾長の挨拶。

その後、私の講演。テーマは「たった一人でのベトナムでの挑戦」
はじめに自己紹介も兼ねて5本のテレビ放映等の一部を上映する。
ドキュメンタリー人間劇場、テレビ大阪ボランティア21、
テレビ東京学校に行こう・・・・。

・「子どもの家」の設立の経過と苦労
・自立に向けた起業の実際
・13年間の活動の中で学んだ8つの教訓

こんな話を90分ほどした。

その後、参加者から質疑応答あり。

最後に2007年3月実施される「ジュニア・グローバル・スタディー
ツアー」(JGST)参加の呼びかけを加藤氏が行う。

午後8時過ぎ講演会は終了。

上尾駅前で「子どもの家」へ上尾市国際交流協会スタディーツアー
で訪問した皆さんとの懇談会。

星野さんたちは上尾市国際交流協会を設立し、上尾市の中高校生
をアジアの国に連れて行き交流をしたいとの気持ちをもっていた。
インドなどいくつかの候補地を視察したが、その中に「子どもの家」
も入っていた。1998年、上尾氏の関係者が「子どもの家」を
視察。2000年、第1回「JGST」が実施された。星野団長、
加藤事務局長など何人かの大人と中高校生が「子どもの家」へ
やってきて、子どもたち同士の交流が行われた。

これが切っ掛けで私たちとの付き合いが始まる。
その後、6回スタディーツアーを実施。今夜の交流会に
参加した若者の中には、当時中学3年生だった人も
いる。みなさん大学生や社会人になっている。
6年間の月日は長くもあり速くもある。
何人かの参加した若者が「スタディーツアーに参加して
人生が変わった、参加して自分を見つめなおし・・・・」
などの感想を言っていた。

午後11時前まで交流懇親会は続く。
最後に素晴らしい「胡蝶蘭」をお土産に頂く。

懇親会終了後、星野氏のジャガーで拙宅まで送って頂く。
上尾から高島平まで15分か20分ほどであった。驚くほど
速かった。

人間の社会である。たった一人の人間が「やる気」を起こし、
行動をする。10年近くたつ。多くの子どもたちが育ち
何らかの影響を受けて生きている。会社や役所・・・などで。
私たちの生きている社会とはそうしたものである。
他人を追求する以前に星野さんや加藤さんが行動している
子どもたちのための海外スタディーツアーや若手企業家の
ための「聚正義塾」などは、まさにボランティアのサンプルで
ある。私たちが学ぶべきことが多い活動である。
私とどこかで通じるものがある。こうした皆さんと行動している
と安心してお付き合いできる。私利私欲がないといういとか?

投稿者 koyama : 2006年10月19日 12:35

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