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2006年04月16日
休日
終日雨。
午前8時、東京の支援者から電話。
4月2日にハンさんを通して送ったはずの資料と手紙が
未だに届いていないとのこと。FAX番号を聞いてベトナム事務所
から送信する。
ベトナム事務所から郵送したはずの手紙が東京に届いていない
という理由は何なのか? 不可思議。
「階級社会=グローバリズムと不平等」を読む。
3月末に「子どもの家」を訪問したベテラン勢の多いスタディーツアー
の代表からメール。参加者からの感想を頂いた。
多くの皆さんが帰国後、発熱・下痢・体力消耗という現象が
でたとのこと。旅行中、皆さん、相当無理をしたのか?
13通のメール受信。9通のメール送信。
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4月18日~25日まで「ベトナム共産党大会」が開催される。
今回の大会では、共産党員が企業の社長になって良いとの
規約改正案が提案される。
ハノイの交通大臣が辞任をほのめかし、警察の
捜索を受けようとしている。容疑は汚職。
問題の発端は、ハノイの建築会社の社長がイギリスの
インターネットギャンブルサイトでギャンブルをし、8億円
(噂による)もの大金をすってしまった事件である。
一般国民の年収が4万円程度のベトナムで8億円と
いう法外な大金をギャンブルに使えるベトナム人が
いるということも驚異だが、8億円を失っても本体の
お金がまだあるというベトナム国家主導大企業の実態
にも驚いた。
このハノイの大企業の建築会社は交通大臣が事実上
経営している会社である。名義だけ家族・親戚とし
実際には交通大臣の個人経営の会社である。
その会社の社長が8億円ものギャンブルをした。
数週間前にその会社のフエ支店長が逮捕された。
この建築会社フエ支店はフエの中心街の主な土地を
買い占めている。
ハノイ本社社長が各地の支社長を集め、大金をばらまき
「本社社長が逮捕されないよう各地の警察に工作を
するよう」指示。フエの支店長がハノイやフエの警察に
事件のもみ消しを依頼したことが発覚・逮捕。
何故、交通大臣が事実上経営している建築会社の
社長が8億円のギャンブルが出来たのか?
以下、そのカラクリである。
ベトナムは海外からのODAで成り立っている所の
ある国である。
多額のODA支援金が入ってくる。ベトナム政府高官に取って
これらODAは利権の一つである。
海外からのODAの多くは道路工事、トンネル、高速道路
建築支援などである。
交通大臣は、海外からのODA資金で道路工事やトンネル
工事などする際、建築会社を割り当てる権限を持っている。
数キロごとに工事道路を建築会社に割り当てる。
その際、割り当てた建築会社に工事費の10%から20%
程度の上納金を求める。数億円、数十億円のODA支援金
で道路工事は行われる。10%でも数千万円から数億円の
上納金となる。ベトナム全土に張り巡らされた道路網。
この工事全てで交通大臣は上納金を取っていた。
莫大な上納金である。その一部がハノイの建築会社の
本社社長に流れ、8億円のギャンブルとなった訳である。
一党独裁国家の高級共産党幹部の「錬金術」である。
特権階級と化した共産党幹部が、その特権を利用し、
莫大なお金を私物化している。これはハノイ中央政府
だけではない。地方行政・共産党幹部も同じである。
一度に8億円もの大金をギャンブルですっても何ら困らない
共産党幹部がいれば、私たちが付き合っている庶民は
1ヶ月2000円、3000円のお金がなく、「子どもの家」に
子どもたちを入所せざるを得ないでいる。
今まで共産党の規約で共産党員は企業の社長には
なれないとなっていた。それを認めれば、ベトナム共産党
が目指す社会主義とは相容れないからである。
資本の論理に則り収益を上げる大手大企業の社長に
共産党員がなるということは、ベトナム共産党がそもそも
社会主義をめざすもものではない、との理屈もなりたつ。
その証拠に今回の規約改正には、多くの関係者が
「異論」を述べている。ベトナムの新聞には様々な異論
が掲載されている。珍しいことである。
中国の国営大企業が日本のトヨタなど大企業以上に大きな
企業となり、その社長が
共産党員であるという現実を見ると、社会主義ではなく
国家資本主義という人もいる。あながち的を得ていないとも
いえない。ベトナムも遅ればせながら、その路線に
追随するようである。
4月18日からの共産党全国大会で
公式に共産党員が大企業の社長になっても良いとの
規約改正が行われれば、公然と共産党幹部が特権を
利用し、ぼろもうけをする体制が制度化される。
そうなれば、もはやベトナムは社会主義でも何でもない。
共産党主導の国家資本主義である。
この13年間、ベトナムに住んでいて、これら共産党の
多くの人々は、ストリートチルドレンや障害児、生活困難
な家庭の子どもたちにほとんど興味をもっていない。
彼らの興味は海外からの資本導入。海外資本との
提携。ODA/ボランティアなどからの資金援助である。
ストリートチルドレンの関係者もストリートチルドレンや
障害児を利用して自らの出世か財政的支援金を
もらうことを目的としていると断言できる。
ごく一部、良心的な人々もいる。私がフエで
協力・提携している人々の一部である。
そうした良心的な共産党の人々がいることで、わずかに
今の制度が保たれているかに見える。
「社会主義」であれ「資本主義」であれ、弱い立場の
人間を無慈悲に扱う組織・システムには憎悪を覚える。
わが小泉首相も「社会に格差があっても良い」と言っている。
ポスト小泉と称される人間も異口同音に「格差はあっても良い」
と言っている。あなたたちにそうした発言をする資格はない
といいたい。あなたたちは、生まれた時から格差の苦しみに
合わない生い立ちなのだ。小泉首相は祖父(国会議長)・父
(防衛庁長官)の子どもである。麻生氏がどんなに立派な
お説教を垂れても「あなたのおじいさんは吉田茂首相です」
といいたい。本当に格差の最底辺で生活もしていないで
偉そうなことを言って欲しくない。
安部官房長官は祖父がA級戦犯の岸首相、父が外務大臣の
安部晋太郎氏である。谷垣氏も父親は自民党の谷垣衆議院
議員である。福田氏も父親は福田首相。
「格差があっても良い」などと言っている人たちは、誰もが
格差社会の中で苦しみもがいていた実体験のない人々である。
私はこうした人たちの言う事を信用していない。
投稿者 koyama : 2006年04月16日 13:59