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2005年11月19日

「子どもの家」創立11周年記念式典

終日曇り。

午前8時、バオミン・ベトナム事務所長のオートバイで
「子どもの家」へ。今日は「子どもの家」の創立11周年記念式典。
1994年11月21日に「子どもの家」のA棟1階が作られた。
それから11年。紆余曲折のあったベトナム・フエでの
ストリートチルドレン支援活動ではあるが、こうして11年経って
見ると300人もの卒業生、62人の在所の子どもたちがいる
立派な施設になっていた。改めて日本での支援者や
ベトナム事務所スタッフなど多くの関係者にお礼を申し上げたい。

8時15分、「子どもの家」へ到着。
セン運営委員長、フエ市人民委員会外務部長のニエンさんと
と挨拶。


式典前、子どもたちも興奮気味。


午前8時半、「子どもの家」2階の音楽室で式典は始まった。
式典の始めは「子どもの家」の演芸。

女子の踊り。少数民族の衣装で登場。

●テレビ東京「ざ・ドキュメンタリー」で入所したリーさんも
明るい笑顔で踊りを披露


アン君の歌(ともだちと仲良く・・)

続いて「子どもの家」でミシン研修をしているMENさんが企画し、
自分で全ての衣装をセメントの袋で作った「ファッションショー」。
もちろんモデルは全員「子どもの家」の子どもたち。
これが意外に絵になっていた。私は、このファッションショーを
見て、ほとんどお金をかけずにすばらしいファッションショーを
作り、モデルの子どもたちも楽しんでいた姿を見て、
この子どもたちの文化・芸術の水準の高さに驚いた。
お金を使わずにこれだけ楽しくショーを作り上げた能力の
素晴らしさに敬服し、心からモデルを楽しんでいた子どもたちの
純真な素直さとエネルギーに圧倒された。
「日本の子どもたちならどうなるだろう?」とふと頭をよぎった。

ディレクターのMENさんとモデルのフィナーレ。

ファッションショーを企画し、自分で全ての衣装を作ったMENさん。
自分でセメント袋の紙で作った衣装。


続いて音楽専門学校へ通っているDUOC君の『涙そうそう』。
ぞうりを履いて和服姿で歌う。さすがに歌がうまい。同時に
日本語がきれいである。教えた先生の能力か、DUOC君の力か?


(1)ロック寮長の「開会のことば」
   ・バオミンベトナム事務所長の通訳。
  
ベトナム共産党第10回大会と11月20日の
先生の日を前にして、「子どもの家」創立11周年式典が開催
でき嬉しい。みんなでお祝いしよう。

(2)創立記念ケーキ点火式
 私とセン運営委員長とで3つのケーキにある11本のろうそく
 に火を点ける。

(3)セン「子どもの家」運営委員長の経過報告
  通訳はラームさん。


①困っている子どもたちを助けることはベトナム共産党の方針である。
 「子どもの家」はフエ市人民委員会、JASS、「越日交流委員会」、
 各組織のスタッフの努力のおかげでここまで発展できた。

②2004年~2005年の活動の報告
 ・この11年間で322人の子どもたちが入所してきた。
  そして卒業した子どもたちの中には、ダナン、ビン、
  ホーチミン市などで働いている子どもたちもいる。
  最近JASSベトナム事務所で働き始めた子どももいる。
 ・「子どもの家」には現在62人の子どもたちが生活している。
 ・在宅支援は24人。
 ・2004年~2005年の学校の成績
  62人の子どもたちのうち47人が学校へ通っている。
   最優秀賞受賞    6人
   優秀賞受賞     12人
   素行・芸能特別表彰13人
 ・「子どもの家」は衣食住だけでなく、子どもたちの自立のために
   努力している。2004年~2005年の学期に3人大学進学を
    果たした。
   MENさんはフエ経済大学。DUONGさんはフエ師範短大。
   KHANH君はフエ師範大学。特にKHANH君は
   高校の年間平均が10点満点で8点だった。
 ・職業訓練も自立のために進めている。
   ミシン、靴作りなどでは、既に給料をもらえるまでに
   研修の成績が上がった子どもたちもいる。
   「子どもの家」でのパソコン、ミシン研修も成果をあげている。

 ・「子どもの家」での道徳指導の結果
  道徳と知識、そして芸術が子どもたちには必要である。
   道徳の面では、多くの子どもたちがホーチミン共産青年団、
  ホーチミン少年団(少年先鉾隊)、「子どもの家」赤旗隊に
  加入し、自分たちで自立した生活ができるよう努力している。
    また、フエ市主催の絵画大会、音楽大会、凧揚げ大会など
  に積極的に参加した。
 ・6月1日の子どもの日。中秋祭なども実施。
 ・JASSの内田征子さんなどの支援で夏にバーベキュー大会、
  タンタン温泉へ行き集団行動をしながら楽しんだ。
   また、12月24日には内田さんの支援で9回目のクリスマス会
  が行われた。
 ・人事管理
  現在「子どもの家」には13人のスタッフがいる。それぞれの
  スタッフが子どもたちのために頑張っている。
   医師も一人いる。フエ医科大労働組合と協力して
   定期健康診断を実施している。
 ・「子どもの家」労働組合には13人全員が加入し、
  フエ市労働組合連合の指導で活動を進めている。
・子どもたちの能力を高めるために日本・英語教室、
 絵画教室、パソコン教室、図書教育などを実施している。
 図書は、子どもたちへの貸し出しを試験的に実施し、
 大きな成果を得た。今後、毎日貸し出しを行うこととした。

②2006年の目標
  ・「子どもの家」スタッフの専門分野の能力を高めたい。
   ストリートチルドレンや親の愛情不足な子どもたち
   への指導の仕方を更に専門的に学びたい。
  ・子どもたちの能力を全面的に開花させたい。
   学校での勉強の推進、「子どもの家」での特別教育の
   充実。進学も頑張りたい。
  ・子どもたちの教育と陶冶に力を入れたい。
   特に思春期の子どもたちの指導に習熟したい。
   専門の本を買って学びたい。
    今年文部省が国定教科書を改訂した。
   JASSにお願いです。新しい教科書を買って欲しい。
  ★「子どもの家」はひとつの家庭。お互い助け合って
   生きて行きたい。
    「子どもの家」はベトナムと日本の友好の証である。
   「子どもの家」の全ての子どもたちとスタッフを代表して
   フエ市人民委員会とJASSにお礼を言いたい。

(4)フエ市人民委員会外務部フエ副部長挨拶

HUE(フエ)副部長は最近就任したばかり。今日はニエン
外務部長も出席していたが、外務部も若い人を育てている
ようで、フエさんの「学習」出番となった。良いことである。


・11年間、大きな成果はあった。それはJASSとベトナム事務所の
 おかげである。改めて感謝した。大学にも子どもたちは入学して
 いる。卒業生は他の都市でも仕事をしている。
・「越日交流委員会」を設立したが、その設立は大きな意義がある。

(5)JASS代表小山の挨拶

(6)表彰式

①操行善良・道徳優秀グループ表彰

  MAI先生グループ、TIEN先生グループ

②大学合格特別表彰
 
 フエ師範大学数学科に入学したKHANH(カイン)君。
私からお祝いの自転車を贈った。KHANH君は
「子どもの家」の子どもから自転車を借りてフエ師範大学へ
通っていた。

KHANH(カイン)君のお礼の言葉
  大学に入学できたのは日本の支援者のおかげです。
  また、「子どもの家」の先生の指導のおかげです。
  JASSや先生のご恩を忘れずに努力します。
  大学でも良い結果を出したいです。

③高校合格者表彰

  THUYさんはグエンフエ高校。
  SON君とNHIさんはハイバーチュン高校。

④真面目に仕事をしたり活動をした特別表彰


⑤11月20日「教師の日」特別感謝表彰

「子どもの家」のスタッフ13人全員にJASSからアオザイと
ワイシャツの布を感謝の気持ちを込めて寄贈


式典は午前10時に全て終了。
式典には児童保護委員会の新しい委員長のLAN(ラン)さん
も参加。ランさんはフエ市立病院付属の診療所の医師。
JICAと協力して行った障害児支援プロジェクトで一緒に
仕事をした仲。前委員長のT氏が解任され、新しい委員長に
就任。色々と大変なことがあるようだ。

午前10時40分。「子どもの家」創立11周年記念昼食会。
今日の食事は専門会社に委託。いつもは、寮母さんたちが
食事を作るが、今日は食事のスタッフもゆっくりと昼食を
摂ってもらいたいと業者に委託。


子どもたちも11周年記念昼食会を堪能していた。

●昼食会に出たフエ名物のイカ

●牛肉料理

●昼食会に出たパン

●フエ風チャーハン


●昼食会を楽しむ子どもたち


●「子どもの家」スタッフと記念写真


●ベトナム事務所スタッフと。

●子どもたちと一緒に全員写真


11年。早いものである。私としては必死に毎日を生きてきた。
私は実践者である。偶然出会ったストリートチルドレン。
子どもたちの幸せと自立を考えて12年が過ぎてしまった。
他のことは何も考えていない。
人の評価は色々である。私は自分の力を精一杯出し切った
12年間だったと自負している。
今日の式典の子どもたちの活動を見て、私たちの活動は
けして間違っていなかったとの確信を持った。
子どもたちの明るい眼差し。元気な行動。一人でフエに
来て「子どもの家」を作って良かったと今は思っている。

今日の日記を書くのに4時間半かかった。
写真は45枚。
日本とベトナムのインターネット事情の違い。
「純米吟醸 八海山」を飲みながら日記を書く。


日本の多くの支援者の皆さんに12年間の活動の
結果としての「子どもの家」創立11周年記念式典
の報告。皆様への感謝の気持ちを込めて。

投稿者 koyama : 2005年11月19日 20:58

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