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2010年06月07日

来訪者応対:リー君との話し合い

午前6時から停電

この2ヶ月以上の停電の最大の理由を「フエフェスティバル」
のためと説明してきた当局の理由が「嘘」だったことが分かる。
フエフェスティバル3日目にしてまた悪夢の停電。
庶民生活に絶大な影響を与える停電。
ハノイ中央・ベトナム中部の幹部と家族の大名旅行が目立つ
フエフェスティバルである。
庶民を犠牲にしての「お祭り」は成功しない。

午前7時朝食。

午前8時、ベトナム事務所へ。
新しい週がはじまった。


ベトナム事務所員も新たな気持ちで仕事に
まい進。

「京滋YOUの会」の古山さんの紹介で「子どもの家」訪問を
する香川の女性が来訪。しばらく話をし、ソン君が案内して
「子どもの家」へ。

引き続き、先日、フエ高等師範大学
で「ソバ打ち」をした長野県小諸市のTが来訪。1時間半
程話をする。ベトナムでソバを植えたい、複式簿記を
ベトナムで教えたいとのこと。


午前11時半、昼食。

午後12時過ぎから1時間昼寝。フエでは「風邪」が流行っている。
私も「ノド」が痛く、体がだるい。

午後2時半。ベトナム事務所でバオミンさんと原田先生の3人で
懇談・打ち合わせ。

6月10日から14日まで静岡フエ青年交流会館で行われる
静岡大学工学部の入試。ベトナム全土からの受験者を対象
としている。ホーチミン市からも10数人の受験者がある。

今日からくる「ある企業家」の4日間の案内日程調整。

バンベー37号の原稿の最終点検・校正・今後の連絡体制
などを相談。


午後3時半。大塚さん・バオミンさんと私の3人でリー君を呼んで
「リー君」の『借金地獄問題』を話し合う。


5月20日給料日に給料をもらい、翌日21日には給料の全額を
借金返済にあてなければならない生活をしている。

その後、6月20日の給料日までは、大塚さんが最低限の
生活費を援助するとの申し出があり今日に至っている。
その間、「まだ借金は残っているのか? 正直に言え」と
追求すると「まだ借金があります」とのこと。40万ドン程度の
借金があることが判明。コーヒー、お酒などを「ツケ」で飲んで
いた。40万ドンの借金も立て替えて返済してやり、
「これで全ての借金がなくなった。6月20日の給料日から
一切借金をしない生活をしなさい」との約束だった。

ところが、6月3日の夜、私たちが案内していた日本からの
訪問者と夜2時まで飲み、その際、かなり高級な「腕時計」
を記念にもらった。

6月4日の夕方、日本人訪問者をフエ空港まで送り、午後7頃
日本料理店で夕食を食べていると「隣りの『精進料理屋』の
次男が、リー君が日本人からもらった腕時計を持っている」
との情報があり、精進料理屋の次男を追及。
結局、リーが次男に25万ドンで売ったことが分かる。
前夜、日本人にご馳走になり、記念にもらった腕時計で
あり、翌日「売り飛ばす」とは・・・・・。情けない。

リー君を呼んで細かく事実関係を聞く。

私には、精進料理屋の次男に10万ドンで売ったといったが
嘘だった、25万ドンで売った。

5月21日の給料日の翌日70万ドン程度の借金を返済した、
その後、更に40万ドンの借金を返済した。

しかし、精進料理屋の次男に25万ドンで腕時計を売り、
5月20日の給料日の翌日から「自転車に乗っていない」。
本当のことを言え。まだ借金はあるのか?

リー君は下を向いたまま「まだあります」とのこと。
今ある借金を全て言いなさい、と私。

以下、リー君の言った現在の借金

①コーーヒー代、ともだちとビールを飲んだ  5万ドン
②食事代 10万ドン(つけ)
③友達の結婚式お祝い 3万ドン
④自転車を「質草」に友達から借金 20万ドン
⑤腕時計 25万ドン
⑥近所の屋台  22万ドン  
⑦日本料理店前のカバン屋の飲み屋  12万ドン
⑧日本料理店の2軒となりの絵画販売店  5,5万ドン

でるはでるは・・・・・・


現在、総計で約100万ドンの借金をしている。

結局、5月20日の給料日時点で月給(100万ドン)の
2倍の200万ドンの借金をしていたことが分かった。

5月20日にもらった月給100万ドン(25万ドンは家賃)。
実際には、家賃を除く月給の3倍もの借金をしていたことが
分かった。

約1時間。リー君と話し合う。リー君は何故、月給の3倍もの
借金をするのか?を問う。
結局「欲しいもの、食べたいもの、着たい物」などがあれば、
直ぐに買いたくなる。「自分の欲望を自分でコントロールできない」
所に原因があることが分かる。

6月6日はリー君24歳の誕生日。24歳になっても自分の
欲しいものがあれば、我慢できず、お金がなければ借金しても
買ってしまう。返済できなければ「踏み倒す」という生活態度。
路上生活をしていた時と全く変らない精神状態である。

大塚さん、バオミンさんとその点を厳しく追及。
リー君は、夕食は日本料理店で無料で食べている。
実際の月給は130万ドン。フエの平均労働者よりも
多い位の金額である。
もらった給料の範囲内で生活するよう話す。
大塚さんが計算し、もらった給料から家賃を差し引き、
必要な生活物資(シャンプー・・・・・・)などを引くと
1日に2万ドンの「自由に使えるお金」がある。
リー君は1日2万ドン以内で「コーヒー、タバコ」などの
嗜好品を楽しみなさいと話す。

多くのフエの庶民はその金額以下で生活しているので
ある。リー君の現在の生活は、フエの「上流階級」の
遊び人の馬鹿息子のしている生活に似ている。

今後は1日2万ドン以内の普通のフエ人の生活をするよう
話す。

リー君は神妙に返事をし、二度と『浪費』『借金』はしない
と宣言。

大塚さんが、今している借金が全額返済してやるから
とのこと。

バオミンさんが、領収書と「二度とリー君にはお金を貸さない。
ツケでの飲食をさせない」との誓約書を書きコピーする。

大塚さんとリー君が近所の屋台、日本料理店の前の飲み屋
に行き借金を返済し、「借金をさせない」との誓約書、領収書
にサインさせる。

ということで夕方の時間が過ぎていく。

私も大塚さんもバオミンさんも「これでリー君の借金癖」が
直ぐに治るとは思えない。「怒鳴ったり、怒ったり」するのは
簡単なことである。しかし、私たちが目指しているのは、
私たちの怒りを爆発させることではない。
リー君の長年の路上生活で身についた「借金壁」を直し、
真っ当な人間にすることである。時間と膨大な忍耐力を
要する仕事である。
私たちはこうした仕事こそ「海外ボランティア」の本質だと
思っている。ある意味では「教育の本質」ともいえる。
学校を建てたり、食料を上げたりするのも
海外支援であることは事実だが、それらは結局「緊急」支援。
海外支援・海外協力の本質は、「人を育てること」に尽きる。
リー君問題は例外的なことではなく、彼の「浪費癖」「借金壁」
を時間をかけて、忍耐強く直していくことこそが、海外協力
の本質であり、実態だと思っている。
リー君の「借金壁」「浪費壁」は、彼の生い立ちを考えれば、
「そうなるかな」と思える節が多い。親がいなく、きちんとした
しつけがされていない。路上での物乞いなどその日暮らし
の毎日の中で身についたものである。

1時間半近く、リー君は神妙な態度で「反省」していた。

午後5時半、夕食。
夕食の前に昨日誕生日で24歳になったリー君の
「誕生祝」をする。先ほどまで下を向いて神妙に
していたリー君だが、誕生祝の会になった途端に
満面の笑顔。これほど短時間に気持ちを「入れ替えられる」のも
リー君の特性。素晴らしいことである。
人間は、1時間半も「絞られたら」、大体は「へ込んで」しまう。
全くへ込んでいないリー君を見ていて、「借金癖は再発するな」
と思った。


フエフェスティバル中はいつも来客は少ない。それでも
欧米系のお客が来店。

午後9時閉店。

投稿者 koyama : 2010年06月07日 07:45

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