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2008年06月12日

日本へ帰国

気温18度。寒い。

今朝、0時05分、 ホーチミン発のベトナム航空機で成田へ。
昨日フエ空港で2時間、 ホーチミン空港で4時間、
飛行機内で7時間ほどの時間があり、読書。

「人民中国の終焉」(清水和美著:講談社)読了。

主題は、中国は社会主義なのか? 中国の国内格差の
異常な増大の現状の解明。そして、今後の中国がどうなって
いくのか?

1949年中華人民共和国成立。社会主義国家となる。
労働者・農民(貧農と小・中農)の同盟に基づく社会主義政権、
権力は労働者・農民と位置づけられた。それまでの資本家・
貴族・地主などは、排斥・弾圧された。
1960年代の文化大革命。労働者・農民が権力をもった国家
との位置づけのもとに「貯金」をしただけで「資本主義の道を
歩む反革命分子」とのレッテルが貼られ、弾圧された。
1979年12月、鄧小平副主席は「改革・開放」路線を確立。
その後、私営企業を認め、豊かになる人は先に豊かになる
との「平等社会」の思想が廃絶されていく。
1949年の国家成立時から「農村戸籍」と「都市戸籍」
と国民を戸籍で差別するシステムが今でも生きている。
都市住民と国民の80%を占める農民の収入格差は
5倍以上に達する。更に「新富人」という階層が発生。
日本の大企業以上の収益をあげている超大企業が
発生。10億円の邸宅に住み、海外に高額の資金を
貯めている新しいエリート金持ち階級の発生。
これらの多くは共産党の幹部である。また、目先の
聞く庶民が大もうけをし、権力を握る共産党幹部と
提携し、権力を使い、利益を独占している。
中国の富豪100人のうち半分は土地不動産で儲けた
人々だそうだ。共産党や権力を握っている人たちと
結託し、一方的に地域を「都市開発地域」に指定。
住民を低価格の保証金で追放し、高級住宅を
たて、10倍近い値段で販売し、大もうけをしている
「新富人」。
今や新富人の意向を無視しては、中国の政治が進まないほどの
影響力をもつに至った。
既にこれら新富人を共産党に入党させる規約改正も行なっている。
社会主義の名を借りた国家独占資本主義が成立したと分析。
人口の20%の都市住民のその一部が超贅沢な生活をしている
反面、農村戸籍のために都市への移動を禁止されている
多くの農民が都市難民とそて大都市に流入し、低賃金労働者と
なっている実態を統計と数字、中国の新聞・雑誌などを駆使して
報告している。中国の大都市に行くと高層ビルの谷間で
低賃金で働く農村からの流民と子どもたちの物乞いが目につくと
言う。
都市と農村の格差、都市の中でも農村から流民となって入って
来た人々との大きな格差。
動労者・農民の国家として誕生した中国社会主義の現実は
労働者・農民の国家と謳いながら、実態は、大資本家と
共産党官僚の独占する国家であると結論付けているように
読めた。中国の拝金主義のすごさも知った。
本書を読んで私が住んでいるアジアの某社会主義国の
近未来が想像できるのである。社会主義の名を借りた
一部特権階級と資本家の結託した国家。農民と
真面目に働く人たちが馬鹿を見る社会。

午前7時40分、成田空港到着。 ホーチミン市から成田まで
5時間半ほどの飛行時間。

その足で新宿の心臓病院へ。心電図、採血、診療。
血圧を測ったが、150、95と高いと言われた。
昨日の午後4時半から今朝7時40分まで多くの待ち時間と
椅子に座っている時間の長さ。飛行機の中での睡眠不足
などの影響か?

成田から新宿、自宅で読書。
自宅着、午後1時半。

直ぐに支援者への刺繍等を宅急便で郵送。

「粗にして野だが 卑ではないー石田禮助の生涯」(城山三郎著:
文春文庫)読了。

5代目の国鉄総裁石田禮助の伝記。三井物産の石田禮助が
池田首相の懇請で困難な国鉄総裁に就任。
一言居士の人物ではあるが、勲一等を固辞し、葬式をしないなど
自分のポリシーをもった人物。率直な人柄で政敵にも理解者が
多かったようだ。戦前三井物産のアメリカや中国の支店長などを
勤めている。本書の中で中国山西省太原出張所長の経済違反
行為がデッチあげられ、軍法会議にかけられる場面がでてくる。
我が家がいた場所が山西省太原だった。
今の政治家や大企業の経営者にはいない清貧な人物でも
あったようだ。一人の人間の人生をみると紆余曲折、ドラマが
あり、人間の個性と生き方があることがわかる。人間を政治的立場
だけで色眼鏡で見ないことの重要さを再認識。城山三郎の
財界人の伝記は人間味があって面白い。

夜、ホッピーを買って来て飲む。

投稿者 koyama : 2008年06月12日 08:36

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