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2008年05月14日

休息

午前中雨 午後曇り

ニュージーランド9日間滞在中読書。
3冊の本を読んだ。3冊とも大雑把に言えば「伝記物」。
「我、拗(す)ね者として生涯を閉ず」(本田泰春著:上下 講談社)
本田氏は私より10歳ちょっと年上。朝鮮から引き上げて来た
「引揚者」。帰国後、父親の仕事が順調に行き、お坊ちゃん育ち。
その後、仕事に失敗し貧困生活を体験する。また、
戦後民主主義教育の第1期生。早大新聞学科から読売新聞
社会部に入社。売血の「黄色い血チャンペーン」の主導者。
本田氏のキャンペーンで「売血」が終わる。売血で血清肝炎
(今日のC型肝炎)になる人が多かった。
売血の中心は、薬害エイズのミドリ十字(中国での人体実験の
元731部隊の幹部)が経営していた。
また、社主の元警察官僚である正力松太郎に徹底して
反抗。途中で抗議の気持ちを込めて退職と言った経歴。
不当・不正義なことがあれば、ついカーッとなって反抗する
気質があるようだ。
本田氏の人生を見ているとその出生はほぼ私と似ている。
また、性格的もにかなり似ているように思う。本田氏の主張は
「人間は生きてきたら、社会に何らの役割を果たせ。自分や
家族だけの幸せを追求するだけの人生ではいけない」。
基本的には「浪花節」の世界なのである。義理と人情と
困った人をみたら黙っていられないという性格である。
私たちの父親の世代にはこうした人は多かったように思う。
今は、「口先だけ」で「行動」が伴わない。
本田氏を尊敬するのは、行動が伴っていたことである。
必ずしも本田氏の行動を全て支持することは出来ないが、
その基本は、賛同できる。
最後は糖尿病で片目失明、両足切断。大腸がんなど
様々な病魔と闘いながら、「野糞のように生きる」と断言している。
野糞は、誰にも影響を与える程の力はないが、間違って「踏んで
しまうと、靴にくっつき面倒なことになる」「自分はその程度の
抵抗と反抗はする」「憲法を守りたい。特に第9条は死守すべき」
と遺言を言っている。

「浮かれ三亀松」(吉川潮著:講談社)
柳家三亀松の伝記。
東京深川で生まれた三亀松。入ったお金は
全て人のために使う。自分でお金をためるなど江戸っ子の
恥としている。
生涯、人のために「散財」した芸人。最後の江戸芸人と
言っている。私も中学・高校時代柳家三亀松の「音曲」を
テレビで何度も見た。相当「キザ」な芸人というイメージが
あったが、本書を読むと、三亀松も本田靖春も人生と
社会に「反抗」し「自分の生き方」を損得を抜きに貫いたという
点で私は高く評価する。浄瑠璃・清元・新内などの詳しい歴史と
説明がある。

午前中池袋の本屋へ。吉川潮氏の」「江戸っ子芸人三部作」
のうち、春風亭柳朝(林家正蔵・後彦六の弟子)は読んだ。
今回、音曲の柳家三亀松を読み、三部作で残った
「江戸っ子だってねえー浪曲師 廣澤虎造一代」(吉川潮著 講談社)
を買う。浪曲で大正・昭和を風靡した。私も子どもの頃、父親が
大好きでラジオを通して良く聞いていた。
その後、浪曲が好きで「廣澤虎造」の清水の次郎長の全巻の
テープを買って何度も聞いている。浪曲も講談と同様「読む」と
いうのだそうだ。落語は「語る」。
虎造は芝白金で生まれた。虎造の清水の次郎長は関東の
浪曲。啖呵が身上。「旅行けば、駿河の国に茶の香り・・・・」
から始まり、初代「お蝶」の死、石松代参、荒神山、石松閻魔堂
・・・・。浪曲は一度聞く価値のあるものだ。
視力が相当低下。00鏡なしには、本が読めなくなった。

中国で史上最大規模の大地震発生。犠牲者・被災者の
皆さんにお悔やみと早期の回復の言葉を伝えたい。
神戸の地震の32倍のエネルギーだったそうだ。
1万5千人近くの方が亡くなっているようだ。
地震があった日に中国政府は盛大な聖火リレーを挙行している。
人間の命より、「国家」の体面が大事なようだ。
(その後、聖火リレーを縮小するようだが)。
学校がもろくも崩壊している。共産党本部・行政などの施設の
被害は相対的に少ないようだ。
海外からの支援金と物資はもらうが、人が来るのは拒否との
こと。ビルマ(ミャンマー)の軍事独裁政権もサイクロン被害
への国際支援を拒否している。友好国だけの支援を受け入れるという。
独裁国家は、人権や命より自らの政治の地位の安定と保身が重要
なようだ。
テレビ・新聞が中国四川地震・ビルマ(ミミャンマー)サイクロンへの
義捐金を呼びかけている。人道的な支援は必要。
同時にこれらの支援金や支援物資が本当に被災者に届くかどうか
は大いに疑問が残るところ。15年間の海外支援の経験から
痛感しているところである。支援金や物資を送った国は、
それらのお金や物資が被災者に届いたのかを見る権利と
支援金・物資を寄付してくれた人に報告する義務がある。

この国の急激な経済発展が「金権主義」と共産党一党独裁
の中で遂行され、一部「成金」と「特権階級の繁栄」を
もたらしたが、それが汚職と賄賂にまみれた「いびつな」
繁栄であることは、今回の地震を通して一層鮮明になった。
オリンピックの成功を望むと共に、内陸部で「繁栄」から
取り残された庶民、言論と思想の自由のない国家には
未来のないことを痛感した。私の身の回りにもこれに
似た国がなくもない。


もっとも神戸の地震の際の村山首相は、地震当日の夜も
赤坂かどこかで宴会をしていたそうだ。あまり他国の
ことは言えないが・・・・。

投稿者 koyama : 2008年05月14日 15:07

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