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2007年09月22日

「子どもの家」中秋祭り:地球の歩き方Ⅵお別れ晩餐会

終日雨。寒い

午前5時半起床。微熱・頭痛・鼻水。
午前7時朝食ブンボー。

体がだるい。しばらく横になり、読書。

「美は乱調にあり」(瀬戸内晴美著)読了。

大杉栄と伊藤野枝が大正12年の関東大震災で
甘粕憲兵大尉によって虐殺されるまでの人生が
書かれていると思ったが、その以前の野枝の
恋愛を長々と書いて終わってしまった。物足りない。
それでも野枝が福岡の田舎で生まれ、成績優秀。
アメリカへ行けるというはかない希望だけを頼りに
結婚するが、1日で東京に出てきてしまう。
上野高等女学校の卒業生総代。感受性豊かで
野性味のある野枝と英語教師辻潤の恋愛が
最初の山場。辻は東京下町で育ち、英語教師であり
また実践はしないが社会主義・無政府主義に造詣が
深かった。そうした辻から野枝は強い影響を受ける。
次の山場は「青踏」。平塚明子(らいちょう)との出会い。
青踏社に参加した「新しい女」たちの当時の社会のタブーを
破る種々恋愛。そして、無政府主義者大杉栄との出会い。
大杉の「自由恋愛論」に従い、大杉の奥さん、当時最先端
の仕事だった「女流新聞記者」神近市子、野枝との
「4角関係」の自由恋愛。葉山日陰茶屋事件で神近市子が
大杉を刺傷させるところで本書は終わっている。その後、
大杉と野枝がどんな人生を歩み、28歳で殺されたのか
のあたりを読みたかった。
それでも瀬戸内晴美40歳頃の作品であるだけに人間国宝
寂聴の枯れたお説教・人生論には至っていないが、
むしろ女性・「女」に多少年季の入った年頃になった
瀬戸内晴美の恋愛論・男と女の心の行き違いの機微を
生々しく書いている。体験的小説と見た。

午前9時、雨が止んだのを見計らってベトナム事務所へ。
体がだるい。いくつか必要なメールの返事を出す。
おきているのがつらく、横になる。

読書「幻の光」(宮本輝著:新潮文庫)
宮本輝は私と同じ1947年生まれ。4編の短編集。
「幻の光」を読む。著者32歳頃の作品。
やはり文才のある人の文章は違うなと思った。
32歳の頃、私は何をしていたのだろうか? 
落語・講談・漫才の評論家になろうなどと模索して
ことを思い出す。
能登を舞台に再婚した女性が最初の夫の自殺の原因と
幻影を追っていく話。能登の暗い冬の海の描写が話の
内容とマッチし、人生を考えさせるものとなっている。
著者がこの短編で何を言おうとしたのかは分からないが、
線路を歩いている前の夫が自殺した理由を「体から精が抜けて
しまった」からと表現している。山場も特にない単調な筆致であるが
能登の冬と暗い海と雪を吹き飛ばすような風の雰囲気が読み取れる。

昼食。おかゆを作る。
2時間ほど昼寝。

目が覚めると、ボランティア貯金から感想・コメントを求められている
ことに気づく。9月25日締め切り。急いで、書く。
ボランティア貯金として冊子にするそうだ。活動実績・ボランティアの
大きな意義などを書き、写真をつけて担当者に送信する。

小泉「郵政民営化」選挙は私たち海外ボランティアにも大きな
打撃を与えている。ボランティア貯金が2007年9月末で「廃止」された。
郵政省が郵政公社になり、小泉構造改革で民営化。
それに伴ってボランティア貯金交付金もその法的な根拠を
失い、なくなってしまった。郵政民営化選挙で、小泉首相は、
郵政民営化が「構造改革」の突破口だとして、郵政民営化か、
反対かとの二者択一の選挙戦術を取り、マスコミもそれに乗った。
しかし、少しずつ時間が経ってくると「小泉改革」は弱者切捨て、
福祉切捨てのニセ改革だという実態が分かってきた。
ワーキングプアーなどということばは、今では誰でも知っている
言葉となった。
ボランティア貯金は14年間で188億円もの寄付金が集まった。
2007年月末時点で2,551万件の加入があり、96か国・地域に
延べ2,577団体が実施する延べ3,107事業に対し、
約188億円の寄附金を配分して来た。大いに意義のある
郵政省の制度であった。2007年9月末でボランティア貯金と
いう制度を根拠付ける法律がなくなり、今まで寄金されていた
残りの寄付金を独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構
が、なくなるまで引き継ぐということになった。
民営化された後は、制度としてのボランティア貯金はなくなる。

こうして小泉構造改革の影で海外のストリートチルドレン・障害児
貧しい子どもたちへの支援金、海外活動をしているのボランティア
の日本人への生活支援がなくなっていくのである。残念でならない。
などと考えていると更に熱が出てきた。

やらなければならない仕事、書かなければならない文章がたくさん
あるが、だるくてきちんとした文章を書く気力が出てこない。
今日は無理。

午後5時40分、バオミンさん、仁枝さん、ハンナさんと一緒に
「子どもの家」へ。

今日は「子どもの家」の中秋祭り。

     
     楽しい
     「テト 中秋」    JASS
      2007
37 グエンチャイ「ストリートチルドレン」の家
 
今日は地球の歩き方Ⅵの皆さん、在宅支援の子どもたち、
ボランティアで子どもたちに勉強を教えてくれている
フエ師範大学の学生、ベトナム事務所員、「子どもの家」
スタッフなどが集まり、ベトナムの「子どもの日」である
中秋祭りを楽しんだ。

テレビ局も取材にやってきた。

開会前から「子どもの家」は、中秋太鼓をたたき雰囲気を
盛り上げている。


子どもたちも年に1回の「子どもの日」。お正月とこどもの日が
一緒に来たような雰囲気である。




セン委員長の開会の挨拶

続いて私の挨拶

いよいよ中秋祭りの呼び物「獅子舞」が始まる。
2頭の獅子舞がからみあう。


会場・参加者も大いに盛り上がる

子どもたちの出し物

●中秋を祝う踊り


●低学年男子の「ヒップホップ」。

●サンバのリズムに合わせて「焚き火」を囲んで踊ろうよ

会場の真ん中には「中秋お祝い」のケーキが飾られている


会の最後に子どもたちにお祝いのお菓子や果物を上げる


在宅支援の子どもたちも参加

1時間半の中秋祭りは、和気藹々・楽しく過ごすうちに閉会。

午後7時45分。「子どもの家」を後にし、地球の歩き方Ⅵの
皆さんの最後の晩餐会である日本料理店へ。

午後8時前、日本料理店で夕食会が開かれる。

6日間のフエ滞在。明日、ホーチミン市へ旅立つ。

ベトナム事務所のスタッフと交流しながら、子どもたちの
作った日本料理店を楽しむ。
日本料理主任のTHUYさんは、姉の結婚式でホーチミン市へ。
今日は代わりにウエンさんが料理の中心になっていた。

母親が迎えにきたリー君も日本料理店の仕事に専念。
「子どもの家」仲間と雑談。


夕食懇親会は午後9時半まで続く。

私は体調不良。人と話すのも億劫(おっく)な心境。
立っているのもつらかった。
9時半過ぎ閉店後、帰らしてもらう。

投稿者 koyama : 2007年09月22日 13:28

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