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2007年06月13日
「子どもの家」卒業生 グエン君の結婚式
晴天
午前7時朝食。フォー。
午前7時半、ベトナム事務所に集合。「子どもの家」
卒業生グエン君の結婚式に行く。
センさん、ロックさんをはじめ「子どもの家」寮母さんたち、
ベトナム事務所スタッフ、刺繍みやげ物店スタッフ。
我が家族。
バオミンさんは急遽、Hさんを案内してクアンガイまで
2日間の旅。
その関係でダナンに到着するJASS東京の高橋さん、柳沢さん
の出迎えには、サンさんが向かった。
グエン君は3人兄弟。両親が船に乗って沈没し死亡するという
事故があり、親類なども貧しく3人兄弟を育てられず、「子どもの家」
が出来た最初に入った3人兄弟。(グエン君・妹、妹)
グエン君は26歳。6年ほど前まで「子どもの家」にいたが、
卒業し、ベトナム北部のビンに行き建築労働者として働き、
地元の女性と結婚することになった。
妹のメンさんは、「子どもの家」第1期生。地元県立トップ校の
グエンフエ高校を卒業し、一昨年からフエ経済大学に進学。
現在は下宿をかりて在宅支援。
次女のトゥーイさんは現在グエンフエ高校2年生。「子どもの家」で
生活しながら通学している。
3人は、叔母さんの家を本拠している。叔母さんの家には
84歳になる祖母(父親の母)も同居している。
結婚式は祖母のいる家で行われた。
フエ市内から車で40分。トゥアンアン海岸の近く。
細い田舎の路地をくねくねと進み、やっと農村地帯の真っ只中
の家にたどり着く。
午前8時半。やっとグエン君の叔母さんの家に着く。
早速、新郎(26歳)。新婦(23歳)が出迎えてくれた。
新婦の「付けまつげ」が半分はがれていたのが妙に
素朴で新鮮な感じを与えてくれた。
多分、新婦は生まれて初めて「付けまつげ」をつけたの
だろう。今は付けまつげといわないようだが。
既に結婚式というのか披露宴というのか、式は始まっていた。
正確には、宴会たけなわと言った状況。農家のおじさんたちが
ワイワイ言いながらビールをじゃんじゃん飲んでいる。
私たちも着いた途端にビールで乾杯。
新郎・新婦は参会者のテーブルを回り乾杯を繰り返す。
挨拶も何もない純朴な結婚式・披露宴。飲み食いだけの式が
延々と続く。
途中でカラオケ大会と化す。
祖母と叔母が挨拶に来る。祖母は目と耳が遠くなっていた。
ハンさんの通訳で祖母と話す。3人が住んでいる「子どもの家」の
関係者と話すと「ありがとう」と祖母は繰り返す。
叔母もやってきて話す。
グエン君の叔母さんの家は典型的なフエ農村の家。
家にくっついて豚小屋があり、貧しいと言えばかなり
貧しい家庭に見受けれれた。
結婚披露宴は更に続く。次から次へと料理が出てくる。
肉料理が中心。カラオケが続く。
実に質素な披露宴ではあるが、何か純朴な、人間の
心を感じるものであった。何千万円かけてもこうした人間の
心のこもった披露宴は出来ないとも思った。
やはり両親がいないということなのか、あるいは田舎で気が
つかないというのか、新郎新婦の居場所がなく、
お客さんのオートバイ駐車場に新郎新婦がぽつんと座っていた。
親戚も誰も「主役」の新郎新婦の席を用意していない。
両親がいれば、こちらに座りないさいと声をかえたのだろうが、
などと考えてしまった。
妹のメン、トーゥイも居場所がなく、日陰のオートバイ駐車場
の隅にたっていた。この親戚一族の中でのグエン兄弟の
位置を垣間見たような気がしたが、私の思い過ごしだろうか?
新しく兄弟・姉妹になった4人。妹二人も新しいお姉さんと
楽しそうに話していた。これから、4人で力を合わせて
生きていって欲しい。
2時間ちょっとの披露宴であったが、何か心にほのぼのとした
ものが残る会合であった。
グエン君は「子どもの家」を出て既に6年程発っているのだが、
結婚式にあたりわざわざベトナム事務所に私を訪ねて来て
結婚の報告をし、招待状を直接手渡してくれた。
心のこもった対応である。「子どもの家」で生活して今日の
自分があるということの「感謝の気持ち」をしっかりと持って
いる。別に結婚式の招待状が来たから言うのではないが、
やはりこうして「子どもの家」で育った子どもたちが成長し
結婚するとの報を聞くことは私たちのような海外NGOに
取っては一番の御礼である。
フエに住んで14年になる。多くの人々のお世話をさせて
もらった。中には兄弟3人も日本へ留学させた家族もあるが、
3人とも結婚式や婚約式をしたのに、私やJASSには
何も連絡のない人たちもいる。
たかが結婚式の連絡ではあるが、こんな単純なことの
中にその人間、家族の心の奥底にある感謝の気持ちが
見えてくるものである。
不慮の事故で他界したグエン君・メンさん・トゥーイさんの
ご両親も草葉の陰でグエン君と大学生のメンさん、
高校生のトゥーイさんの幸せな姿を眺めてほっとしている
のではないだろうか?
私たちJASSの活動は小さなものかもしれないが、
こうして3人の若者がグレもせずに真っ当に育った姿を
見ることが出来、私たち自身も幸せな気持ちになった
グエン君の披露宴であった。痛飲。
投稿者 koyama : 2007年06月13日 10:20