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2013年10月26日

岩波ホール映画鑑賞「ハンナ・アーレント」

(インターネットの調子が悪く、1分程度でインターネットが
 切れてしまう。直す方策を知らない・困ったものだ・・・・)


午前2時目覚める。
キューバ・アメリカ旅行の後遺症で、「昼夜逆転」の生活が直らない。日中「眠って」しまい、「夜、目覚める」という体が直らない。
午前9時半、自宅を出て、神保町の「岩波 ホール」へ。30歳代の頃、岩波ホールの
すぐ近くで5年間程、働いたことがある。
 岩波ホールで初日を迎える映画「ハンナ・アーレント」(マルガレーテ・フォン・トロッタ監督・ドイツ)を観る。約2時間。
 午前11時過ぎ、岩波ホールへ。
この映画の初日。
既に観客が並んでいた。大人1800円・シニア1500円。切符売り場で2000円出す。係りの人が「シニアですか?」と聞くので「ハイ」と答えると1500円にしてくれた。9階の映写室へ。途中で「先着者へ「ドイツ・リッタースボーツ・チョコをもらう。
「ハンア・アーレント」という題名は、ドイツ系ユダヤ人名(女性)。ヒトラー占領下のフランスで
ヒトラー「収容所」に連行。その後脱出。
ドイツ・ヒトラー時代に「ナチスに加入した」ハイデガーに師事。不倫関係になる。
 1951年、米国国籍取得。プリンストン大学などで哲学等を教える。
 1961年、ナチスでユダヤ人を強制収容所に送る責任者だった「アイヒマン」がイスラエルの秘密警察が逮捕。イスラエルで「アイヒマン」の公開裁判が開かれる。
 哲学者・ハンナ・アーレント教授は「ニューヨーカー紙」の特派員として、「アイヒマン裁判」の傍聴記を書く。
 当然ではあるが、ナチスの在仏強制収容所に入れらたユダヤ人である「ハンナ・アーレント」女史が、「戦犯・大量ユダヤ人虐殺者」の最高責任者である「アイヒマン」を厳しく批判し、断罪を要求する「傍聴記」を書くと世界中の「ユダヤ人」や反ナチ主義者が期待していた。ところが、「ハンナ・アーレント教授」は、紙上に「アイヒマンは、ヒトラーなどの命令を忠実に執行した遵法精神を持った官僚だった」との批評を書く。
アメリカ中、イスラエル・ユダヤ人世界で
「人種虐殺遂行最高責任者であるアイヒマンの罪を免罪するもの」との厳しい批判が、世論中から出され、厳しい批判にさらされる。
しかし、ハンナ・アーレント教授は、断固としてそれらの批判に立ち向かい、アイヒマン」は、ナチス権力機構の一環として、単に事務的な部分を担当していたにすぎないと自己評価することで自分の犯した罪の大きさを認識できないでいる平々凡々で陳腐な人間であった(悪の陳腐さ・凡庸)と把握したと新聞にその傍聴記を書く。同時にヒトラー政権当時、イスラエルグループの責任者が、ヒトラーに協力していたことを暴露する。
こうした傍聴記に対して、アメリカやイスラエル・世界中の「反ナチズム」勢力からの厳しい批判を受ける。しかし、「アーレン」は
それらの批判に同じず、「人間の心の奥には、
その時の空気の流れ、雰囲気、時代背景、組織・社会の中で、人間は制約される。、そして、凡庸で忠実な官僚として、悪を行う」と主張し続ける、といった内容。

結論は出ない、「問題提起」の映画である。
哲学者「ハンナ・アーレント」の主張は一理あると思える。
アイヒマンをユダヤ人の収容所送りの最高責任者と断罪することは可能だが、振り返って、自分自身を見た場合どうなのか?
組織の中で「真面目に仕事をしよう」とすればするほど、悪の凡庸にならないか?
大阪の「阪神・阪急レストラン」とかなんとかいう高級レストランで事実上の「偽装」があった。しかし、社長も関係責任者も私達会社は知らなかった、担当社員が勝手に行ったこと」と主張し、最悪の「偽装工作をした」ということを否定する。みずほ銀行の暴力団融資問題も当初、社長など責任者は、「知らなかった」を連発。

これらの人間の行動を見ると、「ハンナ・アーレント教授」の言いたかったことは、真面目な人間であればある程、組織を守る忠実な「官僚になるのだ」との主張はあながち、誤ったものでもないように思えた。
 
これは、革新系の組織では更に強いものがある。社会主義・共産主義系組織では、上部が決めたものには、100%忠実な「凡庸な官僚」として、上部の決定を忠実に遂行する。少しでも疑問をもった人間には、厳しい批判をし、組織排除を行う。上部の決定はたびたび誤ったものであっても・・・。
ナチスの蛮行を批判する人々に対して、「アイヒマン、ヒトラー」への批判は正しいが、あなた自身は、「今、自分の置かれているポジションで、アイヒマンと同じ行動をしているのではないのか? 凡庸な官僚として、忠実に上部の決定を遂行する人間」・・・・
ハンナ・アーレントの提起した問題は、今日の組織化された社会で生きる一人一人の人間の生き方の問題を鋭く突きつけているように思えた。

午後4時過ぎ帰宅。眠くなる。昼寝のつもりで一時横になる。気づくと午前3時だった。
アメリカ旅行の時差が「昼夜逆転」として残っている。

映画終了後、池袋の西口「東京芸術劇場」前の広場で4月・10月に行われる「青空古本市」へ。
「ナチズムとユダヤ人」(100円)
「ヒトラーの台頭」〈500円〉
「戦後革命運動論争史」(840円)
「有線ヒット曲全集(1978年:100円


投稿者 koyama : 2013年10月26日 10:23

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