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2008年07月10日

「縫製研修センター」関連の打ち合わせ

晴天

午前5時半起床。

この数日をいくつかの仕事のためホーチミン市で過ごす。

午後5時半、オムニサイゴンホテルで宇都宮縫製工業組合理事長
(マルサ社長)佐藤さんと待ち合わせ。
佐藤さんのホーチミン市にある事務所へ行き、今後の
「縫製研修センター」の運営等の打ち合わせを行う。

既に「縫製研修センター」では、婦人服を中心に研修を
はじめている。立派な製品も出来上がっている。
今回は、「縫製研修センター」で出来上がった製品の
売り込み。
ホーチミン市にある日系の縫製工場に行き、売り込み。
日本では1着1万円以上はする製品。
売り込み先の反応も上々。
何とか、販路が見つかり、「縫製研修センター」の研修製品が
売れるようにしたい。
佐藤社長も一生懸命、子どもたちのために「縫製研修センター」
への支援を続けてくれている。感謝。




午後6時半から午後10時過ぎまでホーチミン市内の日本料理店
「赤太陽」で会食。佐藤さん、米倉さん(FNハンドクラフト工房
工場長)などと今後の「縫製研修センター」の進め方、
研修製品の販売の仕方などを飲みながら打ち合わせる。


この数日で
「経済物理学の発見」(高安秀樹著:光文社新書)を読了。

非常に興味ある本であった。経済学と物理学がどこで交差しているか?
本の題名を見て興味を感じ読んでみる。文科系と理科系に分かれて高校では
勉強をする。私は、中学までは数学が一番好きだったが、高校2年になり文系と理系に勉強の内容が分かれる際、文型を選んだため当時の言い方では「数ⅡB」までしか数学は勉強していない。物理も同程度のもの。
 著者は元々は名古屋大理学部卒の理学博士。物理学者である。
1980年代に入り物理学に新しい潮流が生まれてくる。コンピューターの発達がその基礎にある。今まで手計算の方程式で物理学の計算は行われていた。
手計算方程式は事実上、線形な方程式に限定されていた。直線的なものを想定し、
方程式を作り、その延長線を想定し解を求めていた。この方程式では自然現象(非線形)の解析は難しかった。

ローレンツという学者がアトランダムに起こる自然現象などの非線形の方程式を
コンピューターで解析した結果、「初期条件のわずかな違いで結果が全く違う性質を持っている」ことを突き止めた。こうした性質を「カオス」と呼んでいるそうだ。カオスは
混沌という意味になる。数学的には「ほんのわずかな違いが拡大されて全く異なる結果を生み出す」という意味になる。
こうした手法で方程式を作っていくと、アトランダムに起こる事象にもある程度の特徴と法則があることがわかって来た。ガラスのコップを床に落として割れる割れ方をカオスの理論で見るといつくかの特徴が見出される。
こうしてユークリット幾何学を更に発展させるような理論が生まれてきた。
クークリット幾何学は、キリスト教の影響を強く受けている。
この世界は神が作り、全てが完全・完璧なものとの前提で成り立って
いるユークリット幾何学。カオスの理論は、直線や円だけではない
アトランダムなガラスコップの割れた破片にも一つの法則と傾向が
あることを発見し、数学と物理学を更に発展させつつあるという。
1980年代・1990年代に始まった新しい学問である。
 本書は為替市場を経済物理学で分析し、その変動の未来予測ができないとされていた国際為替市場をコンピュータで分析し、ある程度の分析見通し・予測ができることうことを主張している。
 経済物理学は物理学の手法と概念を使ってデーターに基づき実証的に現実の経済現象を解明する学問だそうだ。
それは、アトランダムに起こる物理現象を分析する「フラクタル」という理論を経済学の現象に応用するという手法である。
この理論にはノーベル物理学賞を受賞した朝永振一郎の「くりこみ理論」が応用されている。くりこみ理論は、アトランダムにおこる現象を大局的に見て一つの大きな現象と把握する考えである。これは一種の哲学的な思考方法である。
 こうして1990年代に経済物理学はかなりの発展をし、予測が難しい株式市場、外国為替市場などの分析を行えるようになってきたという。物理や経済学には素人の私にとっては読みやすく、物理学の歴史から始まり、経済物理学の現状までを解説している本書は、素人でも興味のもてるものであった。
 高安氏は「今後の展望」の中で基礎学問の重要性を強調している。すぐに成果が出て、「役立つもの」だけを学問が進めていくと、発展はないと断言している。
「電磁気学」が確立された19世紀初頭、それが何に役立つか誰もわからなかった。しかし、今日「電磁気学」がなければ、現在の生活を維持することができないほどの重要な学問になっている言い、基礎学問を重視しない社会は間違っていると強調している。また、間違いや失敗の報告こそ重要な科学の進歩なのだとも言っている。研究の間違いや失敗を学会や研究誌等で世間に発表することで、他の学者がその失敗を繰り返さないという大きな意味があると指摘している。現在、日本で「流行」している「成果主義」「結果主義」「数値主義」がいかに現実を前進させないものかを明らかいにしている。特に教育の世界を席巻しているかに見える「成果主義」「数値主義」への間接的ながら学者からの強い批判である。すぐに成果が出るものだけを評価する方法は、結果的に衰退を生むという。これは会社などでの研究でのことであるが、教育は10年後、20年後に結果が出るかでないかという分野である。今の教育界を悩ませている成果主義への物理学者からの批判の意味は大きい。


投稿者 koyama : 2008年07月10日 07:47

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